おばあちゃんは、私の話を
とてもうれしそうに聞いてくれた。

「そうかそうか、
カホちゃんは本当に夢をかなえたんだね。
よく頑張ったね。カホちゃんは私の自慢の孫だよ。」
そういって頭を撫でてくれた。

おばあちゃんが、私を認めてくれた。
いつも迷惑ばっかりかけてたのに、
自慢の孫だと言ってくれた。 

「おばあちゃん、大好き」
私は言った。
「カホちゃん、大好き」
おばあちゃんが言った。


時間はあっという間に過ぎた。
気がつけば外は真っ暗。
面会時間はもう終わってしまう。

「カホちゃん、今日はどうもありがとう。また明日ね。」

でも、私はまだおばあちゃんと一緒にいたかった。

「そうだ、おばあちゃん、
私おばあちゃんの髪を切ってあげる!」

看護婦さんからハサミと櫛を借りて
私はすぐ散髪の準備をした。
おばあちゃんは明日でいいって言ったけど
でも、早くおばあちゃんの髪を切ってあげたかった。

それが、今の私ができる
唯一のおばあちゃん孝行だから。

おばあちゃんの髪は軽くて、真っ白で、柔らかかった。
櫛で優しく梳かしながら、私は言った。
「おばあちゃん、ありがとう。」

おばあちゃんに感謝の気持ちを伝えたことはなかった。
言葉にするのなんて恥ずかしいと思ってた。
でも、思いは口にしなきゃ
伝わらないから。

「おばあちゃん。
今まで、わがままばっかり言ってごめんね。
私ね、東京に行ってから初めて、
おばあちゃんのありがたみがわかったんだ。
お父さんとお母さんの記憶はないけど、
ちっとも寂しくなかった。
おばあちゃんがいつも
一緒にいてくれたからだよ。」

だから、今度は私がおばあちゃんに恩返ししたいの。