おばあちゃん!」
病室に着くと、すぐさまおばあちゃんに抱きついた。
「おばあちゃーん!私帰ってきたんだよ!起きてよー!!」

半泣きの私を見て、看護婦さんがふふっと笑った。
 「大丈夫ですよ。おばあちゃんはちょっと疲れてお昼寝してるだけですから」




おばあちゃんが目覚めるまで、
病室の片づけやお掃除をして過ごした。
窓の外にはオレンジ色の田んぼが一面に広がっていた。
もうすぐ、待ちに待った収穫の時期だ。
東京では、こんな景色見られなかったな

そんなことを考えていると
私を呼ぶ、懐かしくて優しい声がした。

「カホちゃん」
おばあちゃんは目を覚まして頬笑んでいた。
 
「おばあちゃん…!!
ただいま!!」
私はおばあちゃんに抱きついた。

「おばあちゃーん!わたし、寂しかったよー…」

おばあちゃんは、小さい子をあやすように
私の頭をなででくれた。

「おばあちゃん、具合は大丈夫なの?」

「大丈夫、あきちゃんの笑顔見たら、
なんだかおばあちゃん元気がでてきたわよ。」

おばあちゃんはちょっと寝ぼけているみたいだった。

「おばあちゃん、果穂子だよっ。ただいま!」

「そうかいそうかい、おかえり。」

私は、まっすぐおばあちゃんの眼を見た。
帰ったらまず、一番に伝えたかったこと。

「おばあちゃん、わたし、美容師になりました。」