「ただいまー!!」

おばあちゃんは、いつものにこにこ笑顔で
わたしを迎えてくれた。
「おやおやカホちゃん、学校は楽しかったかい?」

「うん!おばあちゃんあのねー、
今からまみちゃんと外で遊んでくるねー!」

「カホちゃんは本当に元気なのねぇ、お腹空いてるでしょ?
二階の居間にいつもの置いてあるから、食べてから行きなさいね。」



秋田県、仙北市。
わたしの家の周りは一面
田んぼと畑で広がっていた。
便利な場所とはいえない農村に
おばあちゃんとわたしは二人で暮らしている。
なにもないところだけれど
空気は澄んでいで綺麗だし
畑で採れるお野菜は
本当に信じられないくらいおいしい。
わたしはここが大好きだった。

おばあちゃんは小さな食堂を開いていた。
わたしも小学校のお休みの日には
おばあちゃんのお手伝いをした。
毎朝起きたらまず
裏庭からお野菜を摘んでくるのがわたしの日課。
それから、おばあちゃん特製ゆべし作りのお手伝い。

「カホちゃんが混ぜてくれると
おいしくできあがるの。」

不器用な私の小さな手と
器用なおばあちゃんのしわしわの手

幼いわたしには作り方はよくわからなかったけど
お手伝いは楽しかった


おばあちゃんとわたしはいつも一緒だった。
わたしにはおばあちゃんしかいなかったし
おばあちゃんにもわたししかいなかった。

きっとお互い本当はすごく寂しくて
でもおばあちゃんが居てくれたから
毎日わたしは笑顔でいられた。
いつだっておばあちゃんは
わたしのことを大切にしてくれた。