秋田に到着することには
すっかり夜は明け、朝になっていた。

横手、大曲を通過し
バスは角館へとたどり着いた。

二年ぶりの秋田は
まるで時間が止まってるみたいに
何も変わっていなかった。

懐かしい空気が
私に「おかえり」っていってくれている。

おばあちゃんの食堂が見えた。
今の時間はお昼の12時
ちょうどお店が賑わうはずの頃

店の前には誰もいなかった。


「カホちゃん…!」
近所に住む、マツミおばちゃんだった。

「おばちゃん!!久しぶり♪
ねえねえ、おばあちゃん知らない?」

マツミおばちゃんは、なんだかすごく複雑な顔をした。
「カホちゃん、あんた、本当に何も知らないんだね…」

「え…?
おばあちゃんは…
おばあちゃんはどこにいるの!?」
 
「おばあちゃん、いま仙北病院に入院してるのよ」