生まれて初めての東京だった。
絶えることのない人の波
みんな早足で通り過ぎていく。


慣れない学校生活
慣れない仕事

朝早くから日が暮れるまで学校に行って
夜の間だけ家の近くの美容院で見習いとして雇ってもらった。

休む間もなく多忙な日々が続いた。

一人暮らしをするようになって
一人で食べる夕飯が寂しいと思うようになった。

おばあちゃんも今ごろ
ご飯食べてるのかな?
一人で寂しくないかな…?
 
食堂を営む人の孫だけあって
料理の腕には自信があった。
お味噌汁も肉じゃがも、
きんぴらごぼうだって上手に作れた。

けれど、どんな料理だって
おばあちゃんには敵わない。

おばあちゃんの料理が食べたい
おばあちゃんのあずきゆべしが食べたい。