「みさきーっ?呼んでるよ?」



昼下がりの休み時間。


窓際の席で気持ちよく微睡んでいた私は、聞き慣れた声によってたちまち現実に引き戻された。



「……誰?」



意識を半分夢の中に残しつつも、仕方なく顔を上げると……



「愛しの王子様♪」



にやにや笑う親友の茉奈(マナ)。


“王子様”って……


思いっきり顔をしかめて茉奈を見るも、



「早く行っといで?
放っておいたら誰かに盗られちゃうよ?」



全く動じずに、私の腕を掴んで立ち上がらせて、ほとんど無理矢理教室の入り口へと押しやった。


……まったく。


そんな茉奈を横目で睨みつつも、入り口を見ると……



「あ…」