迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*






私を見つめる瞳にも


私を呼ぶ声にも


そして、繋いだ手にも



数カ月後には、

私はすっかり慣れてしまった。



並んで歩くのが当たり前。


隣にいるのが当たり前。



休みの日は、一緒に過ごすのが当たり前。


航くんのいる生活が、当たり前……



気がついたら、航くんのことばかり考えてしまうし、
会えるのを楽しみにしている自分がいた。



今度は、そんな自分の変化に戸惑ったんだっけ。



会えば嬉しいのに、


別れるときはすごく悲しい。


でも、そんなことを素直に表現できるわけもなく、
伝える術もわからない。



生まれて初めての感情に、


私はすごく混乱していた。



思えば、


もうこのときには、


私は十分に“恋”してたんだ。