そのとき初めて、航くんは“男の子なんだ”って実感した。
それまで気にも止めてなかったのに……
私よりも、ずっと大きな手。
最初に会ったときよりも、ぐんと伸びた身長。
……その後も成長し続けてるけど。
あのときは、
いきなりドキドキし始めて、どうしたらいいのかわからなかったっけ。
……って、今もあまり大差はないけどさ。
航くんは、あの頃から余裕だったよなぁ。
隣で眠っている、その無邪気な寝顔を眺める。
私より航くんのほう先に寝つくなんて珍しい。
だから、久々に見た気がする。
「あーあ…」
綺麗な顔しちゃって。
そっと手を伸ばして触れてみれば、
「…ん……みさき…」
何やら呟いて、きゅっとその手を握りしめられてしまった。
……私の名前、だよね?
自然に顔がほころぶのがわかった。
夢……みてるのかな?

