―――……
――――…………
なつかしいなぁ。
そんなこともあったんだ。
たぶん、あの瞬間から、私は航くんのことを意識し始めたんだ。
何せ、生まれて初めて告白された日に、
ファーストキスまで奪われたら…嫌でも意識せざるを得ない。
私は、そんなに夢見がちなタイプじゃないから、理想のシチュエーションとかがあったわけじゃないけど……
だけど、まさかいきなりあんなことになるとは思ってなかったから……
かなり、びっくりはした。
あの後……
そのままいつものように一緒に帰ることになって、
でもやっぱりいつもとは少しだけ違っていた。
並んで歩くだけでも妙に緊張していた私に、航くんは当然のように手を差し出した。
「え?」
驚いて航くんのほうを見れば、
「イヤ?」
不安気な瞳。
慌てて首を振ると、
「じゃあ…」
嬉しそうに笑って、私の手をぎゅっと握りしめた。

