「明日も泊まれるんだよね?」
航くんの声に、はっとして顔を上げた。
見れば、期待に満ちた瞳。
「うん…そのつもりだけど……」
聡子さんにはちゃんと伝えてきた。
……って言っても、ボードに書いてきただけだけど。
大学生になってから、
週末はほとんど航くんの家に泊まっている。
平日はなかなか会えないから。
うちから大学までは電車で30分程度。
たいして遠い距離じゃないんだけど……
「みさきがいないと飢え死にするっ!」
って、大学の近くでひとり暮らしを始めた茉奈に泣きつかれ……
夕方まで講義のある日は、茉奈の部屋に強制連行される。
夕飯を作らされ、しまいには、
「最近、物騒だから怖い」
と、泊まらされる。
茉奈は、いわゆる“ホームシック”状態。
でも、自分では認めたくないらしく、何かと理由をつけては私を呼び出すんだ。

