「澄香~」


あれ以来、修斗は、
ちょくちょくさくら園に来ては、玄関先から、そう名前を呼んだ。


そして、
澄香の方は、
それを嫌がらずに、
修斗へと駆けていく。

そして、
修斗を見ると、
ちょこんと立ち止まる。

「澄香!元気か」


爽やかに問い掛ける修斗に、澄香は、素直に頷いた。


それを見て、修斗は、安心して微笑む。


「そうか、良かった。澄香!見せたいものがある」


澄香は、なぁに?という表情で修斗を見た。


「今日は外は見たか?」


修斗の問いに、澄香は、首を振る。


「そうか、まだか」


修斗は、満面の笑顔をした。


「よし!じゃあ、見せてやる。驚くぞ~」


修斗は、得意げに言うと、玄関の扉に手を掛けた。


「あ、寒いからそこから見てろ」


玄関を降りようとした澄香に、修斗は、透かさず言った。


「見て!澄香!じゃーん!」