救急車はすぐに到着し、
お母さんは、
直ぐ様病院へと運ばれた。

連絡を受けた真梨子も
淳一とともに病院へとやってきた。

「澄香ちゃん!」

「真梨子お姉ちゃんっ」

「お母さんは?」


―――――…



お母さんが、
目を開けることはなかった。


「ウソ…よ…

お母さんっ、お母さん!!」

真梨子は、
お母さんにしがみつきながら、
必死に呼びかけた。


「お母さん…」

澄香は、
光景を見つめて
茫然と座り込む。


「目を開けてよ!
何寝てるのよぉー
お母さん…

お母さんってばー」


真梨子は、
倒れるように泣き崩れた。

透かさず、
淳一は、
真梨子の肩を抱きかかえる。



七月三十一日


今日は、
お母さんの誕生日


お母さんは、
八十二歳の誕生日の日に

天国へと旅立った。



お母さんの最後の顔は


我が子の成長と

我が子が嫁いだ喜びに

まるで
安堵したような


とても清々しい

とても和らいだ

仏様の様な

安らかな眠り笑顔だった