あまりしゃべらず大人しかった澄香は、
おばあちゃんとの暮らしの中で、
だんだんとしゃべる様になり、表情も明るくなった。

そして、澄香は、
小学校に上がる年を迎える。



― リーン リーン ―

日曜
晴天の昼下がりに
電話が鳴り響く。


「はい。
富士崎です」


『あ、お母さん?』


「あぁ、真梨子」


『今日、澄香ちゃん、家にいる?
遊びに行こうと思って』


「うん、いるよ」


『そうっ
じゃあ、行くからっ、
澄香ちゃんに言っててねっ』


そう言って、
真梨子は浮かれ声で、相手の返事を聞くのもそそくさに電話を切った。


「まぁまぁ、
そうぞうしい子ねぇ」


微笑みながら受話器を置く。


「スミちゃ~ん」


「はぁ~い」


二階の自分の部屋で読書をしていた澄香は、
おばあちゃんに呼ばれて一階へと降りて行く。

「なぁに?お母さん」

「真梨子が、遊びに来るって」

「真梨子さんっ、やったぁ~久しぶりだぁ」

澄香は、飛び跳ねて喜んだ。

真梨子は服装もセンスが良くて可愛くて、
雰囲気に華のある素敵なお姉さんなので、
澄香は、
真梨子に会えるのを
とっても楽しみに
待ちどおしくてワクワクした。