「良かったぁ…。

さぁさぁ、
澄香ちゃん、どうぞ上がって」


真梨子と澄香の光景に
嬉しくて微笑むおばあちゃん。


「おかえりなさい」


澄香を見つめて
改めて囁いた真梨子。

そんな真梨子を見つめて、
おばあちゃんを見上げて、
そして、

ゆっくりと家の中を眺めて、

澄香は、

しっかりと言った。



「ただいま」



おばあちゃんと真梨子は、
顔を見合わせ
感激する。



家族と

我が家……


澄香にとって、
生まれて初めて言った、
ただいま

という言葉。



施設で育った澄香にとって、

初めて自分の『家族』と『我が家』ができた、

澄香の

新しい人生が
始まった。