「あら~真梨子、
来てたの」

おばあちゃんは、
澄香の手を引いて、
玄関にいるお姉さんへと歩み寄る。

「うんっ。
澄香ちゃんと会えるの楽しみだったんだもんっ
待ちどおしくて、
来ちゃった」


「そう。
あ、澄香ちゃん、
この人はね、私の娘の真梨子」

「真梨子だよっ、
澄香ちゃん、よろしくね。これから、いーっぱい!遊ぼうねっ」


真梨子は、
満面に微笑んで、
五歳の澄香の視線に合わせてしゃがんで、
澄香の手を優しく握った。

その手の温もりに、
澄香は、
愛に触れた気がした。

― こんなにも
あたたかい ―…

人の手の温もりが、
嬉しかった…


両親の顔も
手の温もりすら知らない澄香にとって、
初めて味わった
とても温かい
人の手の温もり…


「真梨子お姉ちゃん」


澄香が、
そっと呟く。


「え、
お姉ちゃんって言ってくれた?
言ってくれたの~?
わぁーぃっ」


真梨子は喜んで、
思いきり
澄香を抱き締めた。