澄香が、
富士崎家の里子に決まったのは、
それから間もなくのことだった。


富士崎様から、
澄香の里親にとの申し出があったときは、
良い話には違いないが、
環境の変わる
子どもの澄香の動揺を心配して、
園長先生はじめ、先生たちは、慎重に澄香に話をした。

そんな心配をよそに、
澄香の返事は即答のふたつ返事で、

しかし、
子どもの言うこと、

子どもの考え上と大人の判断で温度差が…
と、大人たちは偉く心配したが、

澄香と富士崎様の間には、
二人だけの通じる想いが芽生えていたらしく、

全く心配は、
要らぬことであった。



ひまわりの花咲く


暑い夏の日


澄香は、
おばあちゃんと手を繋いで、
さくら園から富士崎家へと
富士崎 澄香となり、

羽ばたき、旅立った。