母親に「もう歌を歌っては駄目」だと言われ、僕は絶望した。 唯一の希望―――光を絶たれ、僕はその時初めて「家出」をした。 家出といってもたいしたことはなく、当時の友達の家に泊まらせてもらうというだけだった。 それだけだったが、それだけが僕に出来るたった一つの方法だと思ったのだ。 まあ、実際は国が決めたコトだから、僕の母親にも、ましては僕なんかにはどうしようもなかったんだろうけど・・・。