今は未来。

貴方達の現在よりもずっと後。

この世界では、歌を歌う人間は一人もいなくなった。

代わりに歌うは人に「SingerAndroid」と名付けられたロボット達。

SingerAndroidのお陰で世界に歌が絶え間無く響く。

そんな御時世に関わらず、僕―――有川竜汰にはSingerAndroidを買うだけのカネがない。

世間様がいう「貧乏人」という訳だ。

両親と離れての一人暮らしは清々して良かったが、「貧乏」が絶え間無く続く。

正直、人肌恋しい時もあったりする。

まあ、こんな貧乏人に彼女がいるはずもなく、セフレだって最近はいない。

馬鹿な日本の政治家が決めた意味不明な法律のせいで人間は例外なく歌を歌うコトを禁じられた。

それはほんの十年前。

当時の僕はまだたったの八歳で、夢が歌手だった。

なのに、法律のせいで僕の夢は崩れ去った。