注文された“セブンス・ヘブン”は、繊細なカクテルグラスで出されているのに。
いま私の目の前に差し向けられたモノは違う…。
「マスター、オーダー間違えてるけど?」
「いえ、彼女にはコレしか出せませんから」
「どーいう意味だ?」
「伽耶に…、これ以上の手出しは無用です」
呆れた口調で咎める武田さんに対し、淡々と言い切った煌ちゃん。
「人の女を馴れ馴れしく、伽耶呼ばわりすんな」
「っ、煌ちゃん…?」
その一言で私は思わず顔を上げ、向かいに立つ煌ちゃんの名を呼んでしまった。
こちらに視線を変えた彼と目が合った瞬間、また涙がポロリと零れていく。
人の女って…、私なんか興味無くなってるんでしょう…?
「――と言う訳で、ご理解頂けましたか?」
すると彼の視線が外れた瞬間、今まで聞いた事の無い冷たい声が店内に響いた。
「ハッ、っざけんな…!
二度と来ねーよ、こんな店…!」
ガタっと豪快にスツールを倒して立ち上がると、武田さんは姿を消してしまう。

