倒れなきゃフラれる事なく、今後もお客として接して貰えていた筈なのに。
“かえ…って下さ…っ”
辛うじて吐き出せた言葉は、彼の気遣いを踏み躙るモノだったけど。
気持ちがバレてたうえにフラれるなんて、最低最悪すぎるよ…――
それなのに彼は腕を放すどころか、乱れてたらしい髪を撫でて整えたあと。
私の頬に残る涙の筋痕を、指先でそっと拭って笑ってくれた。
“でも…オマエが倒れた時に、やっぱ無理って思ったわ。
伽耶、俺で良いなら付き合って?”
お店とは違う笑顔が、ホントの意味での始まりだったね――…
――――――――――…
付き合うに当たって決められた事は、お店で絶対に彼女と知られてはダメ。
客として来るなら、水・金の週2回だけはOK。
この条件からして…、来る事を嫌がってると分かってるから。
要望を素直に受け入れて、以前よりも大人びたスタイルで遊びに行くようになった私。
フツーに勤める社会人と、バーテンダーとの生活はすれ違いすぎて。
仕事で失敗した時とか、煌ちゃんに会いたくもなるのにね・・・

