貴方で酔わせて。-オトナの事情-



営業時間中のお店で倒れるくらいなら、行かなきゃよかったのに…――



“す、みませ…っ、戻って頂いて…”


仕事を放り出す事-―その意味を知っている、イイ大人だからこそ呟いた私。


針の射されていない右手で涙を拭おうと、その手を上げようとしたら。




“泣いた理由って、俺のせい?”


“…っ”

宙へ上げた右手はキュッと大きな手に、ボヤけた視界は煌ちゃんの眼差しに捉われて。


シンと静まり返った病室で、一拍置いてから煌ちゃんが口を開いた。



“こういう仕事をしてるとさ、相手を見抜く事が出来るから。…伽耶の気持ちには気づいてた。

…けど、応えるつもりは無かった”


“・・・っ”

右腕を掴まれたままで紡がれた言葉に、恥ずかしさとショックで涙は止まってしまう。