薄暗くも温かい照明の射すバーから、夜の暗闇の世界へ戻る瞬間が一番寂しい。
だから歩み始める前に、閉めたドアを一度だけ振り返ってしまう。
…なにを期待してるんだろ、いつも。
シンと静まり返った状況が、余計に虚しさを膨らませるだけだというのに。
ハァ…と、疲れの混じった溜め息をついてから、最寄駅へと向かった――
煌ちゃんこと、折原 煌(オリハラコウ)とは、付き合って1年が過ぎたところだ。
友人の友人の知り合いが経営するバーだからと。
まったく無関係なツテを頼りに、友達とココへやって来たのが始まりだった。

