貴方で酔わせて。-オトナの事情-



女性陣と楽しそうに話す姿を尻目に、ロックでカルバドスを飲むと。


折角のお酒が不味くなるし、携帯に意識を置くのが一番だ…。



「明日も仕事だろ?いい加減に帰れ」


虚しく待ち侘びての仕打ちには、幾ら私でもヘコんでしまう。



「煌ちゃんてヒドイ男」


だけど、本音は絶対に言わないのが此処へ来るにあたってのルールだ。



それでも耐性なんて出来っこない・・・



モヤモヤ感を吹き飛ばそうと、小皿に載ったチョコを一粒手にして。


いつもと色の違う小さなチョコの包みを開け、そのまま口へ放り込んだ。



「んな事言うなら、出禁にするぞ?そのチョコも没収」


「…聞こえない」


「ま、いいわ。とにかくチョコ食べたら帰れ」


可愛げない発言だったとしても、あまりに温度差がありすぎて悔しい。



グッと胸が詰まる感覚が襲う間にも、煌ちゃんはお客さんのオーダーと話に乗っていた。