………優しいじゃん。


不意打ちの優しさってズルい。


そのまま扉が閉まってくれてよかったって思ったのは、あたしの顔が何故か真っ赤だったからだと思う。


いっつも意地悪ばっかり言うくせに……。


こんな時だけ優しくするなんて。



「アリスちゃん?」

「……なに?」

「送るね」

「うん」



クスリと笑った影虎の声が、余計あたしの顔を赤くさせた。



「……影虎」

「ん?」

「あたし……」

「うん?」

「緋呂の事好きっぽい…」

「うん」



自覚した途端、緋呂を愛おしく思ったあたしは変なんだろうか?