ドキッだかキュンだか分かんないけど、あたしの胸が高鳴った。


だけど。


この時のあたしには、それが何なのか知る術はなかった。



「ねみぃ」

「寝れば?」



小さく欠伸をする緋呂に、胸の高鳴りがバレないか不安に思った。


緋呂にそんな心配は無用だったけど。



「言われねぇでも寝る」

「どこで?」

「ベッド」

「そんなもんまであるの?」



生活用品が何故だか豊富なこの部屋。


つーか、誰か住めんじゃない!?


寧ろ住んでんじゃない!?