――パタンッ 目の前で閉じられる分厚いファイル。 「ほー。だから?」 「アリスは馬鹿なんだから、絶対関わっちゃダメだよ」 「うっさい」 正面に座る艶のある黒髪をしたあたしの一応友達は、窘めるようにそう言った。 ピカピカに磨かれた長い爪でコンコンと机を叩いて、あたしを見下ろすようにみる。 170センチを越える長身の彼女は、161センチのあたしを余裕で見下ろせる。 「麻由子は彼氏にしたいとか言ってんじゃん」