「助けてあげる」 さっきよりも強く、あたしに言い聞かせるように繰り返した。 どうして…、どうしてあたしなんかの為に……? 完璧なる初対面のあたしに、そんな事して何の得になるの? 「大丈夫」 「でも……」 「俺がしたいんだよ」 「なんで?」 「ん?アリスちゃんみたいな、俺の大切な人にはしてあげられなかったから」 哀しみを含んだ目を何処か遠くに向けながら言う彼に、あたしは声をかけることができなかった。