わかってるけど、何も言えないあたしはただ怖いだけ。 これ以上の事をされるのが。 みんなが離れていくのが。 彼は口を挟むことなく、静かにあたしの話を聞く。 「誰がやってるの?」 「麻由子っていう子」 「その子って族と関係あったりする?」 「うん」 「わかった。俺が、助けてあげる」 「………え?」 あたしが驚きの声を出せたのは、たっぷり3呼吸置いた後。 全く知らないあたしなんかを、彼は助けると言う。