掲げたスタンスなど、バカバカしいモノだった。


そんなモノを理由にして、ただ感情と向き合えなかっただけだというのに。



大平の放った一言が、もう留められない想いを露呈させただけだ…――



絡んでくる女子社員をあしらって、俺もまた静かに宴会場を抜け出すと。


彼女が向かったらしい女子トイレを前に、壁に背を凭れて待つ事にした。




あの笑顔が、このままだと誰かのモノになる――


考えもしなかった事態に、此処まで俺を突き動かしたからには。




斉藤 鈴…、覚悟してくれよ…?



キミが向かったその扉が、ガチャリと開いた時から勝負だろう。



鈍感で純真な彼女だからこそ、気取らずに“真の俺”を見て貰おうか。



そして飾り気なく、ありのままの感情を伝えよう。



上司と部下の枷を一切外し、ただの男と女として。



ひたむきな鈴がただ好きで、もう限界だと…――



 【上司の本心…?★終】