あどけないその表情が、可愛くて仕方がなくても。


泣きそうな表情で我慢して、涙を耐える姿も然り。



ただ邪な感情を制す事に、終始していただけだった…――




「ダメっすよ、俺がずっと狙ってるんですから。

鈴ちゃん、マジで可愛いじゃないっすか」


その均衡を崩したのは、飲み会で大平が発した一言。



「俺マジなんで、頼みますよ?」


遠方の席で部長と酒を酌み交わす彼女を見つめながら、周りにそう高らかに宣言したヤツ。


監視役の立場にある為、今日はノンアルコールで貫き通していたのが幸いする。



ソレが、彼女を狙う身近な男の存在を知った日――