小さく響いた声色と自身のシックスセンスを頼りにすれば、誰なのか容易に想像がついた。



席に着いて仕事を始めようとした瞬間の物音で、ザワつく辺りをかき分けて行けば。


真っ赤な顔で苦笑して、ペコペコ頭を下げている姿を捉えた。



――やはり、斉藤さんか…。



色々と仕出かしそうな予感が働き、他の新入社員と違った印象を受けたが。


ものの10分で不確かだった俺の予感を、見事的中へと変えた凄腕の彼女。


そのドジさ加減に、嫌悪感よりも興味を抱いてしまったのだ。