告白しておきながら反応を楽しむ余裕があるなんて。
やっぱり課長は、手馴れてる…。
「あのっ、ど、どうして…」
嫌でも巡る考えを振り切って、たどたどしく言葉を紡いだけれど。
「どうして…?」
続きを急かす課長のせいで、紡げなくなってしまう。
いつもと違う、その表情に惑わされてしまうから…。
「鈴・・・?」
ただでさえ、パニック状態だというのに。
再び呼んで、追い詰めていくなんてズルい――
「あ、あの…、なんで私なんかに…」
どうして貴方が、私なんかを目に留めたの…?
課長が一番分かっていると思うけど、若手でも相当な無能社員。
まして美人でもなければ、家柄だってごくごく一般的で。
どこを取ってみても、フツーを絵に描いた一般市民だ。