こんな拙いトコロが…、オトナな課長とお子様な私の差だよね。


切り返しって、どうすれば上手くなれるの?


なんて考える自体、コドモ的発想だよね…――




「ファジー加減は、どう?」


確かめるようにカクテルを飲めば、隣から茶化すような声色で尋ねてきて。



「クスッ…、すごく美味しいです!

さっきのカシスオレンジなんて、忘れちゃうくらい…」


甘くて軽い口当たりに、ピーチとオレンジの絶妙なミックス感。


お酒に弱い私でも、これならさらに飲めそうだ。


そしてフランクな態度に笑いながら、その味を確かめていれば…。




「へぇ…、やっぱり“カシスオレンジ”だったか。

俺に移ったカシスオレンジの味も、ソレで消して欲しいな?」


落ち着いたジャズのBGMが流れる中、コッソリ囁かれた言葉。



「・・・なっ、なに…言うんですか…!」


むせそうになりながらも、詰められていた距離を取る私。



ソレは放たれた言葉の意味を、瞬時に理解出来たせい。


一瞬だけ触れた甘いキスが、すぐに脳裏を過ぎったから…。