*coffret a bijoux*(SS集)

紺色の夜空にぽっかりと
浮かぶ月は見事な真ん丸。


本当に、キレイな満月だった。



「天気がいいからよけい
明るく、大きく見えるね」



「そうだな」



ベランダにはプランターが
いくつかあるだけで、別に
椅子とかテーブルが置いて
あるわけじゃない。



だけど柊弥もあたしも
月夜の冷えた空気が気持ち
よくて、手すりに手を
かけてしばらくそこに
たたずんでた。



ここはマンションの10階
より高い所だから、車の
音や街の喧騒も遠い。



柊弥と2人で月を眺める、
静かな時間。



音もなく時間が過ぎるのと
共に、少しずつ体を満たし
てた熱やアルコールが
引いていくのを感じてた時――。