あたしは静かに誠くんの手に触れる。 触れるか触れないかの境目。 ―――ふ。 微かに触れる。 それは氷のように―――冷たかった。 触れたことに気づいた誠くんは、手のひらを上にして、 「冷たいでしょ?」 そう言って小さく笑う。 まるで〝触っていいよ〟そう言っているような気がした。 だからあたしは勇気を振り絞って手を重ね合わせる。