誠くんは放課後になると、校舎の裏のベンチに寝転がっている。
そこは人通りが少ないところで、きっといつも周りに誰かいる誠くんにとっての唯一の1人でいられる場所なんだろうと思った。
あたしは知ってしまった。
1人でいる誠くんの邪魔はしたくないけれど、この時しかチャンスはない。
唯一誠くんが1人でいるチャンス。
周りに女の子がいないチャンス。
一対一はすごく緊張するけど、周りに女の子がいる時よりは緊張しないのはなぜなんだろうか。
不思議だ。
あたしは今日も校舎に隠れるように、ひょっこりと上半身だけを覗かせる。

