「何してたの?」
冴子は相変わらずな目であたしを見つめてくる。
あたしはそんな視線から逃げるようにそっぽを向く。
なんと言っても冴子は勘がいい。
ただでさえバレやすいあたしは、即見破られてしまう。
けれど今回はそう簡単に見破られては困る。
「な、なんでもないよ! 教室戻ろ!」
この気持ちを感ずかれてしまわぬように、あたしは冴子の背中を押す。
冴子は疑問符で頭をいっぱいにさせながらも、ズイズイ押されるがままに進んで行く。
早く何か話題を見つけなければ…。
なんて思うけど、そう簡単に見つからなかった。
考えれば考えるほど見つからない。

