そのまま誠くんは歩き出す。 あたしは黙ってその背中を見つめることしかできなかった。 結局訊きたいことは何1つ言えなかった。 何1つ訊けなかった。 分からないまま。 〝愛してる〟の意味すら。 「はぁ…」 あたしは1つため息を吐き、そのままゆっくりと空を見上げる。 優しい風が吹き抜ける。