吐き出そうとした言葉が。


やっと出てきた言いたい言葉が。



すんなりと、まるで最初から何もなかったかのように引っ込んでしまった。




何も言えなかった。





誠くんはポッケに手を入れて、あたしと目線を合わせるように少し屈む。



そしてその整いすぎてコワいとすら感じるその顔をグイっとあたしに近寄せて―――…





「何かあったら教室においで」





…―――耳元で、優しく、そして甘く囁いた。