行き場のなくなったその感情は、まるで風船に穴が開いて空気が逃げるように消えていく…わけはない。



この場合、目の前の現実が信じられなくて困惑してしまうのはしょうがない事だとしか思えない。



冷めたってわけじゃない。


ショックってわけじゃない。


怒りたいってわけじゃない。




ただ単純に見たこともない光景に驚いているだけ。




あたしの隣に一緒に立つ、友達の冴子はあたしの顔を覗き込むなり盛大にため息を吐いた。



それだけで彼女の言いたいことが理解できてしまったあたしは、ただただ口を結んで黙るしかない。