震えないようにもう片方の手で手を握り締めたとき、誠くんの声が聞こえた。 「うん」 短い短い返事だった。 誠くんの拒否だった。 あたしは固まったまま動けなくなってしまった。 「……っ」 訊いたあたしがバカだった。 個人でデートをしないと決めている誠くんが、オーケーなんて出すわけがない。 訊いたあたしがバカだった。 何を期待しちゃっているんだろう。