「あたし、バイトやめるね」 「うん…」 分かっていたことだ。 顔を合わせずらいんだろう。 再び沈黙が訪れる。 次にその沈黙を破ったのはチャイムだった。 「教室…戻ろう?」 あたしが遠慮気味に笑うと、冴子も遠慮気味に笑いながら、 「…うん」 小さく頷いた。 あたしは静かに冴子の手を握る。 何もできないあたしの、唯一できることだった。