キミに届け




あたしを不安にさせないように。


自分の悲しみを隠すように。



冴子は〝いかにも〟な笑顔をしたまま言う。



「やっぱり大学生との恋なんて、上手くいかないもんだよねぇー」



吐き捨てるようにそう言った。


そしてまた笑う。



遠まわしに〝フラれた〟そう言いたかったんだと思う。


けれど〝フラれた〟と言葉に出すのは悲しいから、あえて遠まわしにそう言ったんだ。



あたしは静かに「…うん」と頷いた。