やだなあ・・・
こんな、人見知りの自分。

「・・・・・・」

坂口くんはそんな私を黙って見つめていた。
その時何を思っていたかは、分からないけれど――――――――――・・・。

「只今より、平成23年度、第36回 栄市立大河原高等学校 入学式を始めます」

入学式はつまらなかった。
名前を呼ばれれば返事をして立ち、
校長の話があれば黙って聞く。
新入生代表の言葉があればどうせ自分で考えてやいないだろうなど思いながら聞く。

私には意味がないように思えた。

ただ、新入生代表の言葉で、内容は覚えていないが坂口くんの後ろ姿を見つめていたその時だけは、意味があるように思えてしまった-―――――――――。

「・・・ふ」

自分は青いなあ、と笑みを零す。
周りにはばれない様に――――――・・・。
ぎこちない笑みだった。

笑った瞬間、視野が広がったように思えた。