もう4度目か。僕はいつものようにバスに乗って王子がいる村に行った。


バスを降りたが王子の姿が見えなかった。雨が降っているからかなと思っていると、
「お父さん、まだかな。」
と女の子の声が聞こえた。トトロのサツキとメイにそっくりだった。お父さんを待っているのだろう。
雨の中で眠たそうな「メイ」を「サツキ」がおんぶしている。
僕も小さいころに兄におんぶしてもらったっけ。


「なつかしいな」
「ナツカシイ…って?」
いつの間にか王子が来ていた。
「あの二人の姿が懐かしいんだ。」
「だからナツカシイって何!?」

 あ!「懐かしい」の意味を知らないのか。
どう説明すればいいんだろう、「懐かしい」は懐かしい。ほかに説明が・・・

「えーと懐かしいというのは・・・むかしあったものなのに今はなかなか見つけられないものを見たときに感じることだよ。」
「うん、それじゃあ土器とかも懐かしい?」
「それは昔過ぎるよ。「懐かしい」は人それぞれ違うんだ。その人の昔の思い出を思い出させるものが懐かしいものなんだ。」
「じゃあ・・キツネは?僕にはキツネの友達がいるんだ。しばらく会っていないんだけど、キツネや黄金色のものを見ると彼を思い出すんだ。」
「それは君には「懐かしい」ものだね。」
「うん。いつかは僕たちの出会いも懐かしいものになるよね!」
「そうだね。」