夢を見た。初めて王子と会った時の夢。
帰り際に王子は‘あと五回は会える’と言っていた。今日がその5回目だ。もしかしたらこれが最後なのかもしれない。

スクールバスに乗り込んで、王子に聞いた。
「あのさ、王子に会ったとき‘あと五回は会える’って言ってたよね?今日ってその・・・」
王子を見ると寂しそうに笑っていた。
あぁ、本当に最後なんだ。

バス停に着くと僕は今までのことを思い出した。
あー・・おばあさんの作る料理は本当においしかったな。
おばあさんと王子に方言を教えてもらったり、大きな葉っぱを傘にもしたな。
‘懐かしい’を王子に教えたり、散歩にだって出かけた。

「いつかは僕たちの出会いも懐かしいものになるよね!」
王子の言葉を思い出し、家に向かった。

***

今日もご飯をご馳走になった。焼き魚、かぼちゃ、お味噌汁におにぎり・・初めて来たときと同じメニュー。

 本当においしかった。僕は料理をどんどん口に入れた。どんどん食べないと、なんだか泣いてしまいそうだったから。
 だけどお皿がほとんど空になった所で、失敗したと思った。もっと時間をかけて味わえばよかった。残りの数口は何回も噛んで全部たいらげた。