遠足の前日のようなわくわくを僕は感じていた。今日は王子に会える。王子のおかげで、今日のゼミではちゃんと自分の意思を伝えることができた。

バス停にバスがやってくる。乗り込むといつもの席に王子がいた。
「やあ。」
と挨拶をして、僕は隣に座った。


バスはいつもの一本道のところで停まった。

「和男はこの道の先に行ったことがないよね?」
「うん。」
「それじゃあ今日は散歩に決まりだ!僕が案内するよ!」
そう言うと王子は歩きだした。
今日も家に行くのかと思っていたけど、たまには散歩も悪くない。
この雑木林の先に何があるのか気になった。
もしかしたら全く別の世界が広がっているのかもしれない。


雑木林を抜けると…
さっきと似た農村の風景が広がっていた。
「あれ?」
「どうしたの?」
「…いや、なんでもない。」
変な期待をしてしまったと反省する。
景色は同じだが、この景色も、ときどき聞こえる虫や鳥の鳴き声も心地よくて、散歩は楽しかった。ときどき王子が、虫やカエルを捕まえて僕に見せてくれた。