「美鳩嬢、到着しましたよー」

私立十色学園正門前。
純白の大きな車は、もはや日常風景。

「ありがと、シュリちゃん!あ、帰りは車いいから!」

「まーた華橋のぼっちゃんかー。あはは、らぶらぶだねえ」

美鳩の送り迎えを担当しているのは、律 史百合(リツ シユリ)
美鳩専属の使用人の一人で、美鳩からは「シュリちゃん」と呼ばれている。
小さな頃から美鳩の姉的存在。
美鳩にタメで話すのは史百合だけで、美鳩も一番信頼し、慕っている。

「じゃ、いってきます」

「ん、…それでは、失礼いたします」

そうして車は行ってしまった。
美鳩はそのまま玄関へと急いだ。