「優里…抱きつくのは俺じゃねぇの?」
そう言うとグイッと腕を引っ張り、自分の胸へ押しつけた崎本くん。
ひゃ、ひゃあ!
初めて見たよ、人が抱き合ってるとこ!
私は思わず顔が赤くなる。
「優里…」
そう呟くと、崎本くんは優里にキスをした。
リップ音がなければ分からないような、優しい、優しいキス……
その瞬間私の顔はこれでもかってほど赤くなる。
「ぷっ、理衣奈ちゃん顔真っ赤~」
「おい、准。俺、いつお前に名前で呼んでいいって言った?」
「いいじゃん、別に。棗のじゃねぇんだから。な、優里?」
崎本くんがそう言うと、優里が大きく頷いた。
…崎本くんの腕の中で。
「理衣奈は渡さないわ…」
いや、嬉しい…けど…
み、みんな見てるよー!
気にしないの?ねぇ!気にしないの?
「あの…」
私が今にも消え入りそうな声で言うと、みんながこっちを見た。

