「ちょっ…離し」 「……棗」 「へ?」 「棗って呼んで」 は…?へ……!? な、棗!?呼び捨て!? なぜに!? 「え…」 「早く」 「な……」 「早くしろよ」 「なっ…な、棗…くん!」 「………」 な、なんで黙るのー!? ちゃんと呼んだじゃん! 「くんいらねぇ」 「…これ以上は無理です」 「ふーん…」 そう言うと腰に回していた手を離した。 ホッ。よかったよかった。 やっと離してもらえた。 安心したのもつかの間だった。